メイド・イン・L.A.


 相変わらずアマゾンでは手に入らないキープの500円DVD“GRANADA INTERNATIONAL MOVIES”に10タイトルが追加されて、マイケル・ウィナーの「リベンジャー」にウェス・クレイブンの「ジェシカ/超次元からの侵略」、ロイ・ウォード・ベイカーの英国製西部劇「黒い狼 ローン・ウルフの決闘」とかまたまた渋いタイトルが並ぶなか、今回一番気になったのが1989年にマイケル・マンが監督したこのテレビムービー。6年後にアル・パチーノロバート・デ・ニーロ主演で「ヒート」としてセルフリメイクされたことでも有名な作品。
 キャラクターやストーリーはほぼ一緒ながら、3時間の長尺だった「ヒート」に対しこちらは半分の約90分(マイケル・マンいわく「テレビ版は映画用脚本の4割程度」)しかないので、実業家ヴァン・ザントとの小競り合いや強盗一味の家族ドラマ、最後の空港での一騎打ちなどが割愛されているものの、逆に映画版ではわかりにくかった警察側の密告者探しの経過がすっきりしているなど、いわば互いを補完し合う関係にあるので「ヒート」が好きな人は両方見ることをオススメ。見せ場の市街戦も当時のテレビとしてはかなりがんばっている。

 キャスティングはさすがに映画と比べると地味だけど、「ランページ/裁かれた狂気」のアレックス・マッカーサー(このあとマン製作の「ドラッグ・ウォーズ/麻薬戦争2」にも出演)、マイケル・ルーカーダニエル・ボールドウィン、ケリー・ヒロユキ・タガワと見覚えのある顔がチラホラ。なかでも裏切り者のウェイングロを演じるのが「24」のザンダー・バークレイなんだけど、この人「ヒート」にもちょっとだけ出演していい味を出している(パチーノに「俺のテレビを見るな!」って怒られる役)。あとラウレンティス版「フラッシュ・ゴードン」ことサム・ジョーンズがびっくりするくらいショボイ役で出てて、ものすごくやるせない気分に…。

 「ヒート」でパチーノとデ・ニーロが同一フレームに収まらないため「実は別撮りだったんじゃ?」との憶測を呼んだコーヒーショップでの対面シーンもまったく同じカット割りで撮影されていて、最初からマン監督の意図通りの演出だったことが確認できるというのも資料として貴重じゃないかと思う。

ヒート プレミアム・エディション [DVD]

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