アパルーサの決闘
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もともとパーカーの小説はどんなに派手なアクション物になりそうなプロットでも、簡潔明瞭な描写と会話の積み重ねで描くためにものすごくあっさりとした印象を受けることが多いのだけれど(そこが魅力でもあるのだが)、この映画はそういった原作の持ち味を愚直なまでに再現しているため、例えば同じく主演俳優が監督・製作を兼ねたケヴィン・コスナーの「ワイルド・レンジ 最後の銃撃」やイーストウッドの諸作のように、派手なガンファイトや胸のすくような勧善懲悪のカタルシスを期待すると大いに肩透かしを食らいかねない(未公開に終わった理由も多分この点)。
ただ、物語の主眼はあくまでエド・ハリス演じる凄腕の保安官とヴィゴ・モーテンセン演じるその相棒(原作は彼の一人称で語られる)との間に、ピアノ弾きのレニー・ゼルウィガーが入り込むことによって起こる微妙な人間関係の変化と、いかにその状況に決着をつけるか?という部分にあるので、淡々と経過を追い続ける演出は決して間違ってはいないと思う。エド・ハリスがゼルヴィガーとイチャイチャするのをヴィゴが微妙な表情で見ているシーンはなんとも言えない雰囲気をかもし出し、いろいろと想像したくなる向きも多いのではないだろうか(この二人の関係はエドワード・ドミトリク監督の「ワーロック」におけるヘンリー・フォンダとアンソニー・クインを想起させる)。ヴィゴがいつも大砲のようなショットガンをブラブラさせているのも原作通りとはいえ、「イースタン・プロミス」を見た後ではなんだか意味深。
雇われガンマンのランス・ヘンリクセン、エマソンの著作についてハリスをからかうジェレミー・アイアンズのインテリゲンチャな悪役ぶりもよかったけど、唯一ファム・ファタール的なヒロインを演じるレニー・ゼルウィガーがいささかミスキャストっぽくて、ここは当初の予定どおりダイアン・レインか、もっと華のある女優だったら…と言わざるを得ない。
- 作者: ロバート・B.パーカー,Robert B. Parker,山本博
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