外人部隊フォスター少佐の栄光

 ニューシネマ・ウェスタン「男の出発」、ハードボイルド・ミステリ「さらば愛しき女よ」で注目を集めたディック・リチャーズ監督が、国際色豊かなオールスター・キャストで撮った大作戦争ドラマ。資本は英国ですが、製作には若き日のジェリー・ブラッカイマーの名前も。
 第一次大戦直後のモロッコを舞台に、宗主国の威信を賭けて古代の墓所の発掘を推し進めるフランスと民族の力を結集して作業を阻止せんとする砂漠の民との対立、そして使い捨て同然に危険な任務へ派遣される外人部隊の兵士らとそれを取り巻く人間模様。おそらく監督の狙いは「モロッコ」や「ボージェスト」のような古き良きロマンに満ちた外人部隊映画を現代風に再構築することにあったのでしょうが、全般的に地味なトーンで進む物語に加えて、フランスの植民地政策への痛烈な批判やモロッコの民族団結などの近代的な視点を持ち込んだため、見終わった後の感触はかなり重いです。
 ひとつ気になったのが、なぜかジーン・ハックマンが市場に迷い込む場面が「エクソシスト」にそっくりです…そういえばマックス・フォン・シドーも出てるし。まるで「モロッコ」のマレーネ・ディートリッヒのその後のような老女が出てくるのは、監督のオマージュでしょうか。

 結局、この映画は日本では劇場公開されずテレビ放映のみに終わり、海外でもあまりいい成績は残せなかったようで、リチャーズ監督は徐々に映画界からフェードアウトしてしまいました。
 その後、本格的な外人部隊映画はすっかり作られなくなりましたが、1998年になって突如ジャン=クロード・ヴァン・ダムが製作・脚本・主演を兼ねた力作「レジョネア/戦場の狼たち」を発表。ほとんど「〜フォスター少佐の栄光」のリメイクといっていいような内容でしたが、むしろ潔く戦争アクションに徹した分、「レジョネア」のほうが面白かったような気がします。

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 ヴァン・ダムは歴史的にフランス外人部隊と関わりの深いベルギー出身なので、やはり思い入れや憧れのようなものがあったんでしょうね。初期作品の「ライオンハート」でも外人部隊の脱走兵役でしたし。