大いなる決闘

 チャールトン・ヘストンジェームズ・コバーンの二大スターが競演した苦いリアリズムと暴力描写満載の70年代ウェスタン。原題の“The Last Hard Men”は、20世紀初頭の西部を舞台に時代遅れの男たちが激突するストーリーを示すとともに、当時衰退しつつあった西部劇映画の最後の意地を見せようとするアンドリュー・V・マクラグレン監督の気骨のようなものを感じさせます。
 脱獄囚コバーン一味と彼らに愛娘を誘拐された老保安官ヘストンとの知恵を尽くした駆け引きが見せ所なのですが、これは多分「狼よさらば」「ホップスコッチ」のブライアン・ガーフィールドによる原作の面白さに拠るところが大きいような気もします。冷酷非情な復讐鬼を演じたコバーンのワイルドな悪党ぶりが特筆もので、ヘストンをおびき出すためだけに娘(バーバラ・ハーシー)を手下に輪姦させ、対するヘストンも山に火を放って手下を焼き殺したりライフルの台尻で殴り殺したり死体を囮に使ったりと対決はエスカレート。最後は文字通り肉を斬らせて骨を断つ壮絶な死闘の末にレイプの件のフォローもないままジ・エンドという潔さ。ジェリー・ゴールドスミスの豪快なスコアも燃えます。
 このあとマクラグレン監督はアメリカを離れて母国イギリスで「ワイルド・ギース」や「北海ハイジャック」といった現代アクションを撮りますが、ジョン・ウェインの御用監督として大味な大作を量産していたハリウッド時代よりはこっちのほうが面白かったりします。西部劇作品ではこの「大いなる決闘」と、ジェームズ・スチュアートと組んで南北戦争の悲劇を描いた「シェナンドー河」が良作ではないでしょうか。
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 これもオールスター・キャストのお祭り映画として見ればそんなに悪くないかな…(お話は「ヤングガン」とほぼ同じ) 80年代にトム・セレックサム・エリオット主演で撮ったTVムービー。これは見たい。