インビジブル・ターゲット

インビジブル・ターゲット DTS コレクターズ・エディション(2枚組) [DVD]

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 「ジェネックス・コップ」「香港国際警察 NEW POLICE STORY」のベニー・チャン監督によるアクション大作。どうも今までこの人の映画とは相性が悪かったのですが、これは面白かった!
 白昼堂々現金輸送車を爆破した武装強盗団の行方を追って、事件に巻き込まれて恋人を失ったやさぐれ刑事ニコラス・ツェー、犯人一味に大恥をかかされた狂犬刑事ショーン・ユー、行方不明の兄が犯人一味の疑いをかけられたマジメ警官ジェイシー・チャン、おのおのの事情を抱えた三人がチームを組んで独自の捜査に乗り出すが、事件の黒幕は警察内部にいて…という物語そのものに新味はまったくないのですが、目的のためには警察ですら恐れない冷酷非情な強盗団のリーダー役に、現役としては世界トップレベルのアクションスターのひとり、ウー・ジンを迎えたことによって緊迫感みなぎる格闘シーンが生み出され、映画全体の雰囲気をグッと引き締めることに成功。
 監督自身が“80〜90年代香港アクションの再現を目指した”と語るだけあって、主演の若手三人も危険なスタントや格闘シーンをガンガン披露し、ニコラス・ツェーはバスに跳ね飛ばされたり頭から階段を転げ落ちたり、ジェイシー・チャンはガソリンが燃え盛る地面の上を転がったり(これはさすがにVFXだろうと思ったら、エンドクレジットのNG集で本当にやっていることが判明)、屋根の上のチェイスシーンではパルクールの要素を取り入れつつ、スタントとワイヤー、VFXを巧みに組み合わせた新しい手法にもチャレンジ。それらの命がけアクションの合間に燃え上がる男たちの友情や葛藤がこれでもかと詰め込まれていて、監督の狙い通りにいちばん元気がよかったころの香港映画を思わせる熱気にあふれています。
 脇の出演者もサム・リーにラム・シュにマーク・チェンとやたら豪華で、アーロン・クォックは写真のみの登場。あとゲロ吐きとウンコネタもちゃんとあるんですが、香港映画界では「劇中で一度は必ずゲロを吐かせること」っていう組合の規約かなにかあるんでしょうか?