子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる

子連れ狼 DVD-BOX 二河白道の巻 (4枚組)

　待望の映画版「子連れ狼」DVD-BOXが届きました！
　今回収録の1〜3作目は香港版のDVDで繰り返し見ていたけれど、さすがにニューマスターの威力。素晴らしくクリアな映像で、なおかつ明暗のコントラストもきちんと再現しています。

子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる [DVD]

　当時、発売されていたすべての劇画誌を購入して自らチェックし、面白い作品を探していたという若山富三郎先生が「これだ！」と惚れ込み、自ら原作者の小池一夫の元へ乗り込んでまで映画化を実現させたシリーズ第1作。
　製作が勝新のプロダクションということもあり、三隅研次監督以下大映京都組のスタッフがここでも素晴らしい仕事ぶりを見せてくれるのですが、実はこの映画の公開直前に大映は倒産。急遽東宝の配給に切り替わったという経緯があったんですね。
　そんな激動の時代を反映してか俳優の顔ぶれも実ににぎやか。渡辺文雄・露口茂・内田朝雄に加えて、大映組の伊達三郎・五味龍太郎コンビが肩を並べて出てくる一方、関山耕司（この人は顔は怖いけど、静かに喋るとセリフ回しがすごくきれい）・佐藤京一ら東映の悪い人たちが睨みを利かせるという豪華さです。まあ全員ことごとく若山先生に斬殺されるんですけど。なお、悪役のひとりで松山照夫が出ているのですが、ずっと草野大悟と間違えていたのは秘密です。だって似てるんだもん…。
　「子連れ狼」といえば忘れちゃいけない宿敵・柳生列堂を演じるのは伊藤雄之助！原作そのままの扮装ですごい力演を見せてくれるのですが、あまりに力が入りすぎて何をしゃべってるのかちょっとわかりにくいです。
　そして立ってるだけでエロい真山知子（現・蜷川幸雄夫人。蜷川実花のママ）が絶品！口元のホクロがまたなんとも言えずセクシーで、ちゃんと若山先生相手に濡れ場もあり。こんな人を嫁にもらうなんてまったくうらやましいぞニナガワ！吉高由里子にはオッパイ見せられるし！
　脚本は小池一夫先生自ら担当しているため、時々ものすごい説明的で長いモノローグがあったり、クライマックスで関山耕司が見せるひとり脳内連想ゲームとか、独特のテイストはあるものの、まだそんなにムチャな暴走はしていません。
　シリーズ名物の残酷描写も控えめ（あくまで2作目以降と比較して）ですが、首を切断された露口茂の体が、夕陽をバックにスローモーションで倒れる場面の無残美は圧巻。
　続く第2作「三途の川の乳母車」で、いよいよ“残酷アクションと奇想天外な小池ワールドの実写化”という映画版「子連れ狼」の魅力が全開となるわけです。