子連れ狼 三途の川の乳母車

子連れ狼 三途の川の乳母車 [DVD]

子連れ狼 三途の川の乳母車 [DVD]

 いきなり荒唐無稽度がフルスロットルで急上昇のシリーズ2作目。ファンの間で人気が高いのもよくわかります。
 冒頭から拝一刀に裏柳生の刺客がジェットストリーム・アタック!松尾嘉代率いる明石柳生の別式女軍団が人間を生きたままバラバラに!乳母車に突き刺さる大根!無表情に仕込み槍を作動させて女刺客を串刺しにする大五郎!と筆舌に尽くしがたいほどの狂った見せ場が満載!
 その一方で、傷ついて昏倒した一刀を懸命に介抱する大五郎のいたいけな姿が丹念に描かれ、その大五郎が人質に取られて井戸に落とされそうになると、一刀が「我ら親子、冥府魔道に入り六道死生順逆の(中略)まあ大五郎がここで死んでも仕方ないよね!」といつもの論理で冷たく突き放したかと思いきや、大五郎が落とした草履の水音で井戸の深さを見極め、身体が水中に落下する前に敵を全滅させてみごと救出に成功する頭脳プレイを披露。この一見非情そうな父と子の言葉に出ない情愛の深さが「子連れ狼」のもうひとつの魅力ですね。
 ちなみにさっきまで人がバラバラにされるのを見てカンラカンラと笑っていた松尾嘉代サンですが、この場面で内心ひとりだけ大五郎のことを心配していたツンデレっぷりを武道だけでなく人心掌握にも長けた一刀パパに見抜かれてしまい、結局メロメロにされてしまいます。
 後半は、刺客依頼の標的を警護する公儀護送方の弁・天・来三兄弟との対決がメイン。大木実・新田昌玄・岸田森の三人がそれぞれ鉄の鉤爪・釘つき鉄バット・トゲつきグローブの特殊武器を手に、ものすごく楽しそうに人を殺すのがナイスな感じ。
 砂丘の上をゆくこの三人と護送隊の行列の前に不意に大五郎が姿を現し、その指差す方を見ると、丘の上に佇む拝一刀の姿が現れるシーンはシリーズ屈指の名場面。
 引っ張ったわりには意外とあっさり目な1対3の決闘のすえ、頭をパカッと真っ二つに割られちゃう新田昌玄と、のど笛を裂かれたまま“もがり笛”について延々と語り続ける大木実のふたりに比べると、岸田森の死に様はちょっと地味なのですが、腹に刀が刺さって回りにくそうなのにもかかわらず強引に砂丘を転がり落ちてゆくその様子をぼくは見逃しませんでしたよ!さすが岸田さん!