山口貴由「シグルイ(11)」

シグルイ 11 (チャンピオンREDコミックス)

　「無明逆流れ」編も御前試合直前で一旦ブレイクし「がま剣法」編スタート。南條範夫の原作は世間から見放された醜男の執念がストレートに描かれていて自分には大変好感の持てる一編であったが、そこはさすが「シグルイ」、可憐なヒロインであったはずの千加を含めて登場人物がほとんど怪人怪獣大集合状態。御前試合に至るまでの因縁をわずか４話とコンパクトにまとめていることもあって、まったく誰にも感情移入できない異型の物語へと変貌している。
　それでも残り９試合分（＋後日談）も全部描くとすればまだまだ完結までの道のりは遠いが、この作者のことだからとんでもない変化球を投げてきそうで怖い。

駿河城御前試合 (徳間文庫)