ラストキング・オブ・スコットランド

(あらすじ)
 スコットランドの名家に生まれるも屈折して育った青年医師ギャリガン。己の胸に抱く野望を実現させるため故国を離れ遥かアフリカのウガンダへと流れ着いた彼は、クーデターによって政権を奪取し“暗黒大陸の虎”と恐れられるイディ・アミン大統領と出会い、その能力を買われて主治医として彼の元に仕える。
 アミンに取り入ったギャリガンは次第に頭角を現し、いつしか政権運営にまで携わるようになるが、彼にとってはウガンダすらさらなる高みへ登るための踏み台に過ぎなかった。
「お前は這え…おれは翔ぶ!」
 しかし眉目美麗なギャリガンの容貌は常に周囲の女性を惹きつけ、ある時からアミンの愛妾・ケイと深い関係に陥る。暗殺の恐怖からいつしか心の平衡を失っていたアミンだが、この事実を知るや烈火のごとく激怒する。
「やってくれたのう…ギャリガン!」
 アミンの奸計によって残酷無残な“仕置き”を受けたギャリガンはウガンダから追放され、姿を消す。
 それから三年後。何者かによってアミンの側近たちが次々と殺害される。だがそれは、ギャリガンによる恐るべき復讐劇の幕開けに過ぎなかった…。

 ごめんなさい。ウソです。
 映画を見ているあいだ、ずっとこんな妄想が頭の中で渦巻いてたのだけれども、「シグルイ」好きなら同じことを考えた人も…いませんかそうですか。でもアミンは虎眼先生よりどっちかといえば徳川忠長という気もしないではないが。


 なお、藤木源之助役はあの警護の怖いおっさんってことで。


 実物そっくりのアミンを熱演したフォレスト・ウィテカーがオスカーを受賞したこともあって、もっと高尚な大作映画かと思ったら、さすがは「ヒルズ・ハブ・アイズ」を送り出したフォックス・サーチライト(関係ないか)、後半ではえげつない(しかし史実に基づいた)残酷描写が飛び出し、これが初の劇映画となるケヴィン・マクドナルドの演出も、薬瓶を使った古典的なサスペンス描写や、アフリカ活劇映画の伝統を受け継いで主人公が輸送機で脱出するラストなど、なかなかに手堅い娯楽作に仕上げている。「Xファイル」の頃はいまひとつピンと来なかったジリアン・アンダーソンが、すっかりくだけたオバサンになっていたのもいい感じ。
 それにしても、新潮社はなぜ原作本を再刊しないの?

スコットランドの黒い王様 (新潮クレスト・ブックス)

スコットランドの黒い王様 (新潮クレスト・ブックス)

 追記:すごい恥ずかしい誤字があったのでこっそり直した。
 追記の追記:ひとつ大事なことを忘れていたが、この映画は主人公の視点からしウガンダの状況を描いていない。前後のいきさつも含めて何があったのか知りたい方には「食人大統領アミン」を見ることを本気でオススメする。ゲテ物映画としてはパンチ不足だが、当時の政治状況や事実経過が分かりやすくまとまっていて、意外と参考になる。