REC/レック

REC/レック スペシャル・エディション [DVD]

REC/レック スペシャル・エディション [DVD]

 去年気になってたけど見逃してた映画をまとめてレンタルしてきました。まずはスペイン製ゾンビ映画のこれ。
 消防隊を密着取材中のテレビクルー(といってもレポーターとカメラマンの2名だけ。『水曜どうでしょう』より少ない!)が出動先のアパートに同行してみたら、住民が謎の疫病によって凶暴化していて噛まれた人間もどんどん感染。外に逃げ出そうにもアパートは政府によって封鎖され、逃げ場を求めて生存者たちが右往左往する一部始終を記録したビデオ映像という設定の、いわゆるPOV方式の作品です。
 全編ブレブレの手持ちカメラによる撮影なので、これもたぶん劇場の大スクリーンで見てたら死んでるなあ…「クローバーフィールド」のときも書いたけど、この手の作品はテレビモニターで見るのが無難なような気がします。
 映画そのものは古いアパートという縦に長くて狭い空間をうまく使っていて、ときどき階上から感染者の叫び声が響いてくるのが不気味でいい感じ。ただ、この映画のゾンビは今風の全力疾走タイプでどんどん登場人物が襲われてゆくため、ゾンビ映画の醍醐味のひとつである一進一退の攻防のスリルが薄いのが残念です。
 後半で「××のドアを開くためには○○の部屋へ行ってカギを手に入れるんだ!」みたいな展開があって、“バイオハザードじゃないんだからさ…”とちょっとうんざりしていたら、見事にこちらの予想を裏切ってくれたのはうれしい驚き。
(以下ネタバレあり)
 最後に生き残ったレポーターとカメラマンが最上階の開かずの間に逃げ込むと、そこからは正統派の怪奇映画風に転調。壁の新聞記事や古い録音テープから忌まわしい真相が明らかに…!という趣向には個人的にグッと来るものがありました。これはジャウマ・バラゲロ、パコ・プラサ両監督の本格怪奇嗜好が炸裂してるんでしょうね(特にパコ・プラサはぼくと同い年なので勝手に親近感抱いてます)。
 暗視カメラの映像のなかでうごめくアレの姿や、ちょっと怪獣映画っぽい暴れっぷりもよかったです。
 あと中国系だと思ってたオバサンが、いきなり流暢な日本語しゃべったのにもびっくり(ゴトウ・アケミさんという人だそうです)。