ジョーカー野郎


 「バンク・ジョブ」の脚本家コンビ、ディック・クレメントイアン・ラ・フレネが手がけた軽快な犯罪コメディ。原案・監督は「狼よさらば」を初めとするブロンソンの“デス・ウィッシュ”シリーズでおなじみマイケル・ウィナー(これが日本初公開作品)。主演はこの後も「脱走山脈」「明日に賭ける」でウィナー監督と組んだオリヴァー・リードと、同じく監督の「栄光への賭け」にも出演したマイケル・クロフォード。一見すると全然似てないこのふたりが暇を持て余した上流階級の兄弟に扮し、面白半分にロンドン塔の宝物室から王冠を強奪。ところが一週間後に返却しようと思ったら王冠が消えてて…というお話。
 アメリカに渡って以降のマイケル・ウィナー作品はクールで殺伐とした題材が多いのですが、このころはシニカルな持ち味はそのままに、洒脱でポップなセンスが随所で大爆発。軽妙なフットワークで飛んだり跳ねたり大騒ぎしてもスマートさを失わない主演ふたりのカッコよさもいいし、「スウィンギング・ロンドン!」のセリフとともにリアルタイムで活写される60年代の風俗も楽しい映画です。閉館時間にロンドン塔を施錠する儀式のものすごい大仰さ(ドアに鍵をかけるだけなのに衛兵と番人が「何者か!」「鍵です」「誰の鍵か!」「女王陛下の鍵です」「女王陛下の鍵のお通りであーる!」みたいなやり取りが延々続く)とかもすごく英国らしくて好き。若き日のエドワード・フォックスも脇役で出てるし。
 海外でもまだソフト化されていないらしく、今回見たのは昔WOWOWで録画したのもの。それでも奇特な人がいるのものでYouTubeで全編見ることができます(画質悪いですが)。とりあえずここでは、60年代サウンド炸裂のオープニングタイトルを張っておきますね。