やくざ戦争 日本の首領

やくざ戦争 日本の首領<ドン> [DVD]

やくざ戦争 日本の首領<ドン> [DVD]

 ニーノ・ロータに訴えられそうな感じのテーマ音楽(作曲・黛敏郎)に乗せて贈る、東映オールスターキャストの実録ヤクザ映画大作。三連休の昼間からこのシリーズを放映するWOWOWも凄いよ。
 全三部作のうちこの第一作では、佐分利信率いる関西最大の暴力団・中島組が政財界と繋がったり関東進出を目論んだりするも、警察の頂上作戦によって追いつめられるまでが描かれています。
 とにかくおよそ東映映画と聞いて思いつく男優らがほとんど出演しているのですが(出てないのは北大路欣也山城新伍室田日出男・川谷拓三くらいか)、改めて見るとどんなに出番が短くともちゃんとひとりひとりが印象づけられるようになっていたのがよかったですね。特に記憶に残りそうなのが成田三樹夫の「あーびっくりした」と羊羹を食うリアクション、ラクダの上下でホテルの廊下を爆走して死ぬ小池朝雄千葉真一小林稔侍の怪しげなコンビネーション、始終豚みたいに鼻を鳴らしっぱなしの金子信雄とかもうやりたい放題。あと火野正平のチンピラヤクザが安アパートの一室に戻ると寝ている女のカバンから勝手に金を出して賭場の借金を払い、そのまま女の布団に潜り込むシーンもなんだかカッコいい。こういうダメ男がモテるんだな、と思いました(でも勝手にお金を持ち出すのはイクナイ)。
 後半は武闘派幹部の千葉ちゃんが関東の大物・菅原文太を狙ってうっかり民間人を射殺。それを破門処分にしたのが裏目に出て警察の圧力を受けた幹部が次々と組を見限り始めるなか、なんとか組織を守ろうとする佐分利と余命いくばくもない中で解散声明を出そうとする若頭・鶴田浩二心理的な対立がメインになっていくのですが、そこで佐分利一家の婿で医師の高橋悦史がグッと全面に出てくるラストが鮮烈。彼の硬骨で一本気なキャラクターは「完結編」の幕切れまで引き継がれることになります。
 昭和の男優たちは本当にストライプやダブルのスーツが似合ったことを再認識させてくれる映画でした。 


 あと全然関係ないけど、これ欲しいなあ。