華麗なる大泥棒

 主演ジャン=ポール・ベルモンド、監督アンリ・ヴェルヌイユの名コンビが米国資本で撮った軽快な泥棒アクション。先日WOWOWでオンエアされたのは、待望のスコープサイズ、フランス語版でした。
 べルモンド率いる泥棒チームがギリシャに乗り込み100万ドル相当のエメラルドを盗み出したのはいいものの、乗るはずだった貨物船が故障で足止めを食らい、さらにエメラルドの横取りを目論むオマー・シャリフの悪徳警部が絡んできて騒動を巻き起こす実写版ルパン三世みたいな映画。ベルモンドとオマー・シャリフが猛烈なカーチェイスや派手な追いかけっこを繰り広げる一方で、延々とギリシャ料理の紹介が挟まったり、ケンカ別れした恋人を観光地へ連れ戻しに行ったりするノンキさがフランス映画っぽいです。
 いつものようにベルモンドは吹替えなしの危険なスタントを披露。走るバスの窓にぶら下がったり、バスからバスへ乗り移ったり、なかでも一番びっくりするのがダンプの荷台に隠れて追っ手をやり過ごした後、採石場の斜面を土砂もろとも転げ落ちる場面。

 斜度40度、長さ200mはありそうな斜面をボールみたいに跳ね回りながら落下し、下の地面に着いて立ち上がるまでを長回しの一発撮りでやってのけ「あーびっくりした」みたいな表情で立ち去るベルモンド。この人はどんなに体を張って危ないことをやっても、ぜんぜん必死に見えないのがいいですよね。
 相棒役(服装が次元そっくり)でロベール・オッセンも出ているのですが、まったくパッとしない役柄だったのが寂しいです。