上海ドラゴン 英雄拳

 魔都上海に散った英雄・馬永貞の物語を、張徹監督がチェン・カンタイ主演で映画化した任侠功夫映画。
 前半で、馬永貞が山東省からやって来たことが再三語られるが、谷垣健治氏の名著「香港電影 燃えよ!!スタントマン」を読むと“ジャッキー・チェンは父親が山東人なので大柄”という記述が何度か出てくる。かように、山東人というのはとにかくデカいというのが中国での定説らしく、ごっつい容貌のチェン・カンタイはまさに適役。
 馬永貞があこがれる上海の顔役・譚四を演じるのは、特別出演のデビッド・チャン。一様に硬派(というか童貞っぽい)路線のショウブラ武打星において、チャラい雰囲気も出せる貴重な人。チェン・カンタイとの硬軟の対比が絶妙で、おかげでヒロインのチン・リーは主人公とあまり絡まずにすぐ退場、兄同様に高名な妹・馬素貞のエピソードはばっさりカット。さすが張徹。
 この種の映画としては珍しく124分の長尺で、共同演出のせいかテンポの良さに欠ける部分もあるが、クライマックスでは大迫力の血みどろ闘死シーンがこれでもかとばかりに繰り広げられ、ここでも監督の趣味がフルスロットル。

 というわけでそろそろ、ジュディ・リーが馬素貞を演じた「地獄から来た女ドラゴン」もDVD化してよ!

「地獄から来た女ドラゴン」予告編