バンテージ・ポイント

 昨日は虎眼先生アミン大統領だったフォレスト・ウィテカーが今日は普通の観光客。しかもものすごく説明的な独りごとを口走ったり、幼女を抱きかかえてパンツ丸出しで連れ去ったり、なぜかいつまでもビデオ回しっぱなしにしたりと“娯楽映画における安定した脇役としてのフォレスト・ウィテカー”を普通に演じているのが凄い。アカデミー賞主演男優賞もらった人なのに。でもちょっとした表情や仕草で、妻子とうまく行っていないことを暗示させるのはさすが。
 シガニー・ウィーバーピーター・イエーツの「目撃者」にオマージュを捧げるがごとくテレビ局のディレクター役で登場するものの、結局顔見せ程度の出番で、同じ映画で共演したウィリアム・ハートが最後にちゃんと見せ場をもらっていたのとはえらい違い。
 余計な背景説明や人物設定をすっとばし、正味30分間かそこらの出来事に集中した脚本は悪くはないし、巻き戻る度に新事実が見えてくるアイディアは好きだけど、娘を探す母親の行動があまりに不自然だったり、そもそも合衆国大統領に替え玉がいたりするのは、話を盛り上げるためとはいえちょっとどうかと思うのだが。